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親の介護は子どもの責任? 実例でわかる「家族介護」に必要な準備
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介護に対して、多くの方が不安を感じています。年齢を重ねるにつれ老化は避けられないことを実感し、将来について漠然とした不安を抱くのではないでしょうか。同時に、自分自身の介護だけでなく、親の介護についても気になります。離れて暮らす場合にはなおさらでしょう。
生命保険文化センターの調査によると、親などを介護する場合の不安として、「肉体的・精神的負担(66.7% 複数回答)」が最も多い回答でした(生活保障に関する調査(令和元年度))。親の介護について、少しでも負担を軽減できるよう、家族で協力しながら取り組むためのポイントをお伝えします。
- コラムサマリ
★この記事は約7分で読めます。
- 親子は互いに扶養義務あり。結婚して戸籍から外れても変わらない。
- 家族で事前に準備したい、介護に大事な3つのこととは。
- 2つの事例から考える、介護のリアルとコミュニケーションの重要度。
ご契約にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。
ご不明な点等がある場合には、保険代理店までお問い合わせください。
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親子は互いに扶養義務を負っている
基本的に、親が要介護状態になった場合、子は親を扶養する義務を負っており、自身と同じ生活水準を維持する必要があります。このことは、民法877条で「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」と規定されており、自力で生活を成立させることができない親族がいる場合には、仕送りや現物支給などにより経済的な援助を行う義務を意味します。
なお、結婚して戸籍から外れた場合でも法律上の関係性は変わりません。そのため、結婚の事実が扶養義務に影響を与えることはありません。また、子の配偶者には扶養義務がありません。あくまでも、扶養義務は、子全員にあり、同居の有無や長男、次男などは優先順位に影響しません。つまり、親と長男夫婦が同居していたとしても、次男も親に対して扶養義務を負います。
家族で話し合い、準備しておきたい3つのこと
扶養の義務、つまり、介護の放棄はできないことをふまえると、家族でさまざまな点について話し合う必要があるということになります。法律的な解釈は、堅苦しく、無機質な印象は否めません。本来であれば、親子関係、家族関係は、愛情と感謝の気持ちで接することが理想的です。
実際に何の問題もなく、助け合いながら介護のある生活を送る家族も多くいます。一方で、相続争いまで発展するケースがあることも事実です。ここでは、最悪のケースを回避するために、話し合っておきたいポイントを3つご紹介します。
費用は誰が、どう負担するか?
兄弟姉妹がいる場合には、「お金」について話し合う必要があります。それぞれの生活があり、個別事情もふまえて話を進めることがポイントです。将来の介護リスクが心配な段階であれば、そのための準備として、介護保険で備えるという選択肢もあり、有効です。
「在宅介護」か「施設介護」か?
要介護状態となったとき、大きな問題となるのが、「在宅介護」「施設介護」の選択です。在宅介護はメリットもある一方で、介護者の負担が大きくなりやすい傾向にあります。親を子の家に呼び寄せる生活のほか、施設でのケアも選択肢です。
基本的に本人の希望を優先すべきですが、それぞれが離れて住む場合などは、自宅での生活を諦めざるを得ないこともあります。施設は、状況や経済的な面から、公的な介護老人福祉施設、民間の有料老人ホーム、サービス付き住宅、病院などさまざまです。
生命保険文化センターが調査した「生活保障に関する調査(令和元年度)」によれば、「自分自身が要介護状態になった場合に、在宅介護と施設介護のどちらを望んでいるのか」という問いに対し、「公的な介護老人福祉施設(35.7%)」が最も高く、「自分の家(29.0%)「介護などのサービス付き住宅(11.7)」との結果でした。それぞれの特徴や施設ごとの特色などを前もってリサーチしておくと、その時の状況にあわせて適切な選択が可能になります。
誰が介護するのか?
想定されるのは、配偶者や子、子の配偶者となりますが、配偶者には老々介護の問題もあり、また、扶養義務のない子の配偶者に頼るわけにはいきません。同居別居に関係なく、子たちでの連携が理想的です。
介護度が進行すると、昼夜問わず気にかける必要があり、介護者が肉体的・精神的に追い込まれていくことが懸念されます。外部の支援等も利用しつつ、負担が集中しないよう費用面も含め、役割分担を考えることが大切です。
後悔しないために~事例から自分ごととして考えてみる
事例1:父78歳で他界/(当時)長男Aさん43歳
もともと真面目で几帳面な父は、母の他界後、1人で生活していました。離れて暮らす父のことは心配でしたが、自分自身が仕事に、家庭に忙しく、LINEでの簡単なやりとりくらいしかできませんでした。
父は、「子どもには迷惑をかけたくない」という言葉どおり、介護が必要になった際には、自分で決めた有料老人ホームに移り、施設の人に助けられながら最期を迎えました。介護になった場合の費用についても、過ごし方についても、子である私に負担をさせないよう事前に準備をしていた父のことを尊敬するとともに、自分自身も早めに準備をしようと妻と話しています。
父のためにもっとなにかできたのではないかという思うこともありますが、LINEでのコミュニケーションで、お互いの思いを理解し合えたことで後悔はありません。
●事例2:母81歳で他界/(当時)次女50歳、長女53歳、長男49歳
自宅での生活を希望する母の介護は、同居する独身の私(次女)が1人でした。仕事や子育てを理由に会いにも来ない姉や弟のことに不満に思いながらも、介護度が進行する母を見ていると投げ出すわけにいかず、介護の毎日でした。
他界後の遺産分割協議で揉めたため、現在は弁護士を通して話し合い中です。もっと早くに姉弟と直接話し合うことができていたら、こんな結果にならなかったと思います。
まとめ
介護にかかわり、家族の形態もその想いもさまざまです。それぞれの事情もあることでしょう。法律的な義務や責任以前に、親と子、そして兄弟のコミュニケーションがもっとも重要です。介護状態になることを想定した上で、ライフプラン、資金計画を考えていく必要があります。
親の介護も、自分自身の介護についても、早めの準備ができれば選択肢は広がります。それぞれの想いをふまえ、できることを画策したいものです。
この記事の執筆協力
- 執筆者名
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大竹麻佐子
- 執筆者プロフィール
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証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て独立。相談・執筆・講師活動を展開。ひとりでも多くの人に、お金と向き合うことで、より豊かに自分らしく生きてほしい。ファイナンシャルプランナー(CFP©)ほか、相続診断士、整理収納アドバイザーとして、知識だけでない、さまざまな観点からのアドバイスとサポートが好評。2児の母。
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