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新NISAをやらないほうがいい?見落としがちなデメリットと対策を解説
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2024年1月から大きく改正されたNISA制度。年間投資額の拡大や非課税期間の無期限化など、メリットが多いと注目が集まっています。一方で、「新NISAをやらないほうがいい」という意見もあります。
この記事では、ファイナンシャルプランナー・佐々木裕平さんの監修のもと、「新NISAはやらないほうがいい?」という疑問に回答しつつ、旧制度との違いやデメリット、その対策などを解説します。
※:この記事では便宜上、2023年までのNISAを「旧NISA」、2024年からの新制度を「新NISA」と呼びます。
※この記事は2021年3月12日に公開した内容を最新情報に更新しています。
- コラムサマリ
■新NISAとは?
■旧NISAと新NISAの違いとは?
■新NISAのメリットとは?
■新NISA、やらないほうがいいといわれる理由は? デメリットしかないって本当?
■新NISAを上手に活用するには? デメリットの対策方法を解説
■新NISAをやらないほうがいいのはどんな人?
■新NISAの始め方
■旧NISAから新NISAに移行する際の注意点
■【年代別シミュレーション】新NISAに毎月いくら積み立てればいいの?
■新NISAに関する「よくある質問」
■新NISAをやらないほうがいいのは、「短期間での将来の見通しにかけるような運用を行う人」
- 本文
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新NISAとは?
そもそもNISAとは、イギリスのISA(Individual Savings Account〈個人貯蓄口座〉)をモデルにした少額投資非課税制度で、2014年1月にスタートしました。新NISAは、NISAの抜本的拡充・恒久化を図るために、これまでのNISA(以降、旧NISA)に代わり、2024年1月から導入された制度です1)。
以下が新NISAの特徴です。
【新NISAの特徴】
①少額から投資ができる
②運用益(売却益、配当・分配金)が非課税である
③投資の対象は投資信託、国内/海外の個別株式、ETF(上場株式投資信託)などである
④銀行・証券会社などのNISA口座で取引を行う
⑤「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がある通常、株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、売却益や配当・分配金には原則、20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座で得られる運用益は非課税です。また、新NISAには、*非課税保有期間の無期限化や年間投資枠の拡大など、旧NISAに比べると、安定的な資産形成を達成しやすいような変更が加えられています。
つみたて投資枠と成長投資枠の違いとは?
前述したように、新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があります。旧NISAのつみたてNISAを引き継ぐのがつみたて投資枠、一般NISAを引き継ぐのが成長投資枠です。
〈表〉新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠
つみたて投資枠
成長投資枠
年間投資枠
120万円
240万円
非課税保有期間
無期限
非課税保有限度額
1,800万円(成長投資枠単体では1,200万円まで)
口座開設期間
恒久化
投資対象商品
金融庁の指定する投資信託
投資信託や上場株式、あるいはETFなど
対象年齢
18歳以上
つみたて投資枠と成長投資枠では、年間投資枠と非課税保有限度額、投資対象商品が異なります。
●年間投資枠
つみたて投資枠が120万円までなのに対し、成長投資枠は240万円までです。●非課税限度保有額
新NISAでは、生涯を通じての非課税保有限度額が新たに設けられました。総額1,800万円ですが、どちらか一方だけを運用した場合、つみたて投資枠は1,800万円まで利用できるのに対し、成長投資枠では1,200万円が上限になります。●投資対象商品
つみたて投資枠で運用できるのは、長期の積立分算投資に適していると金融庁が認める一定の投資信託です。一方、成長投資枠では1,200万円を超えない範囲であれば、目的に合わせて対象外の金融商品も購入・運用することができます。つみたて投資枠で指定外の投資信託に加え、上場株式やETFなどが該当します。ただし、上場廃止が決まっている整理銘柄や毎月分配型の投資信託など、長期保有と相性がよくない商品を除外する条件が設定されています。つみたて投資枠対象の投資信託を成長投資枠で購入・運用することも可能です。
旧NISAと新NISAの違いとは?
2023年までの旧NISAと2024年からの新NISAを比較してみました。
〈表〉旧NISAと新NISAの違い
旧NISA
新NISA
制度
一般NISA、つみたてNISA
つみたて投資枠・成長投資枠
併用
×
○
非課税保有期間
一般NISA:5年
つみたてNISA:20年無期限
年間投資枠
一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円成長投資枠:240万円
つみたて投資枠:120万円非課税保有限度額
一般NISA:600万円(120万円×5年)
つみたてNISA:800万円(40万円×20年)1,800万円(成長投資枠のみは1,200万円まで)
投資枠の再利用
×
○(売却分の投資枠は翌年から再利用可)
①旧NISAでは一般NISAとつみたてNISAを併用できない
②新NISAでは年間限度額が拡大された
③旧NISAでは期限があった非課税期間が新NISAでは無期限になった
④新NISAでは非課税限度額(総枠)が新設された
⑤新NISAでは商品を売却すると、非課税保有限度額(総枠)を再利用できる
⑥新NISAと旧NISAでは購入・運用できる金融商品に違いがある
①旧NISAでは一般NISAとつみたてNISAを併用できない
旧NISAには一般NISAとつみたてNISAの2種類がありました。そもそも一般NISAは2014年、つみたてNISAは2018年に創設された別の制度でした。そうした背景もあり、旧NISAでは一般NISAとつみたてNISA、どちらかを選択する必要がありました。
一方、新NISAでは、つみたてNISAを引き継ぐつみたて投資枠と、一般NISAを引き継ぐ成長投資枠に分かれていますが、併用することが可能です。
②新NISAでは年間限度額が拡大された
旧NISAではつみたてNISAが年間40万円、一般NISAが年間120万円でしたが、新NISAではつみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円を投資することができます。
前述のように、新NISAでは旧NISAとは異なり、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。そのため、旧NISAでは年間投資枠が最大120万円であったのに対し、新NISAでは年間投資枠が最大360万円に拡大されたともいえます。
また、旧NISAでは収益分配金の再投資やスイッチング(※)も年間投資枠の上限金額までの範囲で行う必要があります。その点でも新NISAになって以前よりも便利になったと考えられます。
※:保有している金融商品を売却し、別の金融商品を購入して入れ替えること
③旧NISAでは期限があった非課税期間が新NISAでは無期限になった
旧NISAでは非課税期間が有限で、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年でした。そのため、非課税期間を有効活用するためには、期間終了に合わせて売却のタイミングを見計らったり、ロールオーバー(※)の手続きを行ったりする必要がありました。
これに対し、新NISAでは長期的な投資を行いやすいように非課税期間が無期限となっているため、そうした配慮の必要がなくなりました。
なお、2023年までの旧NISAで保有する商品は、それぞれの非課税保有期間が終了した時点で、特定口座や一般口座などの課税口座に移さます。あるいは非課税保有期間終了までに売却することもできます。
※:非課税のまま投資・運用するために新たな非課税投資枠へ移すこと
④新NISAでは非課税限度額(総枠)が新設された
旧NISAの非課税限度額は、一般NISAは最大600万円、つみたてNISAは最大800万円で、その年に未使用分があっても、翌年に残額を持ち越すことができませんでした。
一方、新NISAでは総額1,800万円(成長投資枠単体では1,200万円)の非課税保有限度額が新たに設けられました。この金額は生涯を通しての総額となっています。
なお、2023年末までに旧NISAの口座で投資した金融商品は、2024年1月以降は新NISAの枠外で管理され、旧NISAの非課税措置が適用されます。
⑤新NISAでは商品を売却すると、非課税保有限度額(総枠)を再利用できる
旧NISAでは、金融商品を購入した時に消費された非課税投資枠は売却しても復活しませんでした。一方、新NISAでは金融商品を売却すると、商品の取得金額の分だけ、非課税投資枠が復活します。
⑥新NISAと旧NISAでは購入・運用できる金融商品に違いがある
これまで一般NISAで購入できた商品には新NISA口座では投資できないものもあります。
なお、つみたて投資枠の対象となる金融商品は、つみたてNISAと同様に、長期・積立・分散投資に適しているとして金融庁が定める要件を満たす公募株式投資信託とETFに限定されており、保有中にかかる運用管理費用も低コストに抑えられています。
つみたて投資枠の対象商品は金融庁のウェブサイトに、成長投資枠の対象商品は一般社団法人投資信託協会のウェブサイトにリストが掲載されています。
新NISAのメリットとは?
では、ほかの金融商品や貯蓄方法に比べて、新NISAの長所はなんでしょうか。
①運用益が非課税で運用できる
②最大1,800万円まで非課税で保有・再利用できる
③売買手数料が無料の証券会社が多い
以下で、それぞれについて詳しく解説します。
①運用益が非課税で運用できる
株式投資信託から生じる利益には、会社から分配される「分配金」と、売却した際に発生する「譲渡(売却)益」の2種類があります。一部の例外を除き、それぞれに所得税15%と住民税5%、復興特別所得税を合わせて20.315%の税金がかかります3)。しかし、新NISAの場合、運用益が非課税であるため、こうした税金を支払う必要がありません。
仮に月5万円ずつ10年間にわたって投資した場合、どの程度の差が出るのか見てみましょう。
① 特定口座で月10万円を投資
② 新NISA口座で月10万円を投資年利5%で10年間運用したと仮定すると、10年後の金額はどちらも776万4,114円となります。ただし、①は20.315%の税金が発生するため、実際に手元に残る金額は、776万4,114円−157万7,279円=618万6,835円になります。
一方、新NISAで運用した②は、年間投資枠・非課税保有限度額の範囲内なので、課税されず、776万4,116万円がそのまま手元に残ります。
②最大1,800万円まで非課税で保有・再利用できる
新NISAでは買付金額で最大1,800万円まで金融商品を保有でき、売却した際にはその分、非課税枠を再利用することができます。積立貯金などと比べ、必要な時に売却し、現金化できるのもNISAのメリットですが、旧NISAの場合は非課税枠がその分、消失してしまうため、売却を躊躇する人も少なくなかったでしょう。しかし、新NISAでは現金化しても非課税枠が再利用できるので、まとまったお金が必要になった時には旧NISAよりも売却しやすいといえます。
③売買手数料が無料の証券会社が多い
2024年の新NISAスタートを見据え、ネット証券会社を中心に売買手数料の無料化が大幅に進みました。中には新NISA口座での取引に関しては全ての取扱手数料を無料にすると発表した会社もあります。
新NISA、やらないほうがいいといわれる理由は? デメリットしかないって本当?
制度が改正されてメリットも増えた新NISAですが、それでも以下の観点で「新NISAはやらないほうがいい」という意見も聞きます。
①旧NISAに比べて、投資の知識や自分の判断が必要だから
②旧NISAで投資できた金融商品に投資ができないから
③損失が出た際にほかの口座と損益通算ができないから
④旧NISAと変わらず、元本割れリスクがあるから
以下でそれぞれの理由について説明します。
①旧NISAに比べて、投資の知識や自分の判断が必要だから
旧NISAでは、非課税保有期間に期限があったため、その終わりを売買のタイミングと意識する人も少なくなかったでしょう。しかし、新NISAでは非課税保有期間が無期限であるため、売るタイミングは自分の判断で考える必要があります。また、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できることで、知識がない人にとっては選択肢が増えて自由度が上がったことが、かえって悩む要因になるかもしれません。
②旧NISAで投資できた金融商品に投資ができないから
成長投資枠は一般NISAを引き継いだ枠です。ただし、新NISAでは、上場廃止が決定された整理銘柄や上場廃止基準に該当する恐れがある監理銘柄、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託および先物取引などのデリバティブ取引を用いた一定の金融商品が除外されました5)。つまり、旧NISAでは投資できた金融商品でも新NISAでは基準に満たず、投資できない可能性があります。
③損失が出た際にほかの口座と「損益通算」ができないから
「損益通算」とは、同一年の利益と損失を相殺することです。投資で利益が出ると税金がかかりますが、損失が出た場合には利益から差し引くことで、税金をその分、減らすことができます。また、損益通算をしても損失額が残る場合、その損失を3年以上繰り越し、翌年以降に損益通算することも認められています(繰越控除)。
特定口座や一般口座などの課税口座では、損失が出た時は複数の口座間でもこのように損益通算することができます。しかし、専用の非課税口座で取引を行うNISAでは、税制上、損失がないものとされるので、ほかの口座で所有する株式などとの損益通算や繰越控除が認められていません。
④旧NISAと変わらず、元本割れリスクがあるから
旧NISA同様、新NISAも元本が保証された投資ではありません。そのため、当然ですが、元本割れするリスクはあります。
元本割れリスクを避けたい人は、銀行・郵便局などでの積立預貯金などのリスクがない方法の選択肢もあります。あるいは、元本割れをしても生活に影響を及ぼさない程度の金額内で新NISAを活用するという選択肢もあります。
新NISAを上手に活用するには? デメリットの対策方法を解説
デメリットを理解した上で、有効に新NISAで資産運用をするためのポイントを説明します。
①20年以上の長期間で運用する
②長期的に成長が見込める金融商品に分散投資する
③分散投資ができる投資対象を選択する
④無理がない毎月の積立金額を決める
①20年以上の長期間で運用する
金融庁の「はじめてみよう! NISA早わかりガイドブック」によると6)、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に積立投資を行い、20年間保有した場合、1989年以降のデータでは元本割れになったケースはないといいます。同様に5年間保有した場合も利益を生み出す可能性がありますが、元本割れのリスクがそれなりにあるとも同書は説明しています。元本割れのリスクを恐れる場合、このように20年は保有することで対処がしやすくなるかもしれません。
②長期的に成長が見込める金融商品に分散投資する
前述のとおり、保有期間を20年と考えると、「長期的な成長が見込めるか」を投資の基準にするのが合理的といえます。特に知識がない場合は、長期の積立分算投資に適していると金融庁が認めるつみたて投資枠対象商品を選ぶほうが容易でしょう。
③分散投資ができる投資対象を選択する
また、投資対象は十分に分散することが重要です。分散することで、集中投資よりも値動きの変動を抑える効果が期待できます。
この点は少し難しいので、初心者の場合、やはり前述のとおり、金融庁が認めるつみたて投資枠対象商品の中から選ぶといいでしょう。
④無理がない毎月の積立金額を決める
これまで説明してきたように、20年以上の長期間、分散投資できる投資対象に投資するのが、新NISAのデメリットを最小限に抑えた運用方法です。
そこで最後に注目したいのは、毎月の積立金額です。新NISAは必ずしも毎月定額で積み立てる必要はありませんが、長期運用するのであれば、毎月、同額を継続して投資するのがおすすめです。20年という期間を考えると、子どもの養育費や家の購入など、大きなお金を必要とする機会は様々に考えられます。そうした観点から考えても、毎月の積立金額は家計に負担のない額にするのが安全といえます。
新NISAをやらないほうがいいのはどんな人?
これまで説明してきた新NISAのメリットとデメリットを踏まえた上で、新NISAをやらないほうがいいのは、以下の人です。
・短期間で大きな金額を手に入れたい人
・数年以内に大きなお金を動かすことが確定している人
これまで説明してきたように、新NISAは長期運用向きの資産形成方法のため、短期間で大きな金額を手に入れたい人には不向きな手段といえます。また、数年以内に必要な資金を貯める方法としてもあまり向いていません。そうした場合には、別の手段を選ぶのが得策です。
新NISAの始め方
これから新NISAを始める場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。以下で旧NISA口座がない場合と、旧NISA口座を持っている場合の2パターンについて説明します。
・旧NISA口座がない場合
・旧NISA口座を持っている場合
旧NISA口座がない場合
新NISAを取り扱っている金融機関で、口座開設手続きを行います。オンラインや郵送、店舗などで手続きを行うのが一般的です。申請には申し込み書類のほか、本人確認書類とマイナンバー確認書類などが必要になります。
なお、NISA口座はすべての金融機関を通して1人1つが原則です。開設すると、金融期間から税務署に申請され、二重口座ではないか、確認が入ります。仮に二重口座であった場合には、NISA口座で買付け済みの商品を買付日にさかのぼって一般口座に移管されるので注意しましょう。
旧NISA口座を持っている場合
旧NISA口座と同じ金融機関で新NISAを利用する場合は、自動的に新NISA口座が開設されるため、手続きは必要ありません。
旧NISAと異なる金融機関で新NISA口座を開設したい場合には、NISA口座を利用している金融機関から「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」のいずれかの書類を取り寄せ、新しい金融機関に新規開設の申し込み書類と併せて提出しましょう。
旧NISAから新NISAに移行する際の注意点
旧NISAで口座を持ち、金融商品を保有している場合、それらはどうなるのでしょうか。以下で簡単に解説します。
旧NISA口座で新規の買付け・積み立てはできない
旧NISA口座での買付け・積み立てができるのは、2023年12月末まででした。非課税保有期間が終わるまで、新NISAと別枠で非課税のまま保有したり、売却したりすることはできますが、新たに買付けや積み立てをすることはできません。
新NISAにそのまま移管することはできない
旧NISA口座で保有する商品は、そのまま新NISA口座に移管することはできません。それぞれの非課税保有期間が終了する時点で、特定口座や一般口座などの課税口座に移すか、売却するかを選ぶ必要があります。なお新NISA口座に非課税枠が残っている場合、旧NISA口座の商品を売却し、同日に新NISA口座で購入することで実質的な移管をすることは可能です。
【年代別シミュレーション】新NISAに毎月いくら積み立てればいいの?
では、実際に長期間にわたって新NISAで積立投資をした場合、最終積立金額はいくらくらい見込めるものでしょうか。たとえば、老後までに2,000万円の最終積立金額を目指す場合、どのくらいの期間、毎月いくらを投資する必要があるか、年代別に試算しました。
•20代の場合:45年間で老後資金2,000万円を用意する
•30代の場合:35年間で老後資金2,000万円を用意する
•40代の場合:25年間で老後資金2,000万円を用意する
•50代の場合:15年間で老後資金2,000万円を用意する
なお、想定利回りは3%と5%で計算しています。
※:シミュレーションの内容は、未来を保証するものではありません
20代の場合:45年間で老後資金2,000万円を用意する
【20代の想定プロフィール】
- 未婚
- 将来、家族や家を持ちたい
- 留学あるいは転職の可能性あり
- 現在の月収は30万円
20代は、ほかの世代に比べて、収入が少ない一方、長い期間続けることができます。定期的に積み立てる習慣をつけるためにも、転職などで収入が変動した場合でも無理のない金額で運用するのがおすすめです。
〈表〉45年間、毎月同額で運用した場合
想定利回り(年率)
毎月2,000円
毎月1万円
毎月2万円
3%
228万746円
1,140万3,730円
2,280万7,459円
5%
405万2,875円
2,026万4,373円
4,052万8,746円
45年間で老後資金2,000万円を新NISAの積立投資だけで用意する場合、想定利回り3%で毎月2万円程度を運用する必要があります。
30代の場合:35年間で老後資金2,000万円を用意する
【30代の想定プロフィール】
- 既婚、子どもなし、共働き
- 将来、家や車を持ちたい
- 転職の可能性あり
- 現在の世帯月収は70万円
30代になると20代よりも結婚している人が増えているかもしれません。共働きと想定すると、独身であった時よりも世帯での収入は増えている可能性があります。
ただし、どちらかが失業や退職をした時には1人の年収で2人分の家計を担うリスクや、子どもの養育費や住宅購入費を用意する可能性も発生します。そうした場合にも無理のない金額を夫婦で話し合うのが無難でしょう。
〈表〉35年間、毎月同額で運用した場合
想定利回り(年率)
毎月1万円
毎月2万円
毎月3万円
3%
741万5,637円
1,483万1,273円
2,224万6,910円
5%
1,136万942円
2,272万1,849円
3,408万2,773円
35年間で老後資金2,000万円を新NISAの積立投資だけで用意する場合、毎月3万円程度で運用するのが妥当と考えられます。
40代の場合:25年間で老後資金2,000万円を用意する
【40代の想定プロフィール】
- 既婚、子ども2人(中学生以下)、1人が専業主婦(夫)
- 家のローンを支払い中
- 子ども2人が大学に行く予定
- 現在の世帯月収は60万円
40代になると、結婚しているだけではなく、子どもがいる可能性が高まります。子どもの養育費や学費に加えて家のローンなどの出費も多くなるでしょう。とはいえ、40代から老後資金の準備をスタートする場合、一定以上の金額を投資する必要があります。
〈表〉25年間、毎月同額で運用した場合
想定利回り(年率)
毎月2万円
毎月3万円
毎月5万円
3%
892万156円
1,338万235円
2,230万391円
5%
1,191万194円
1,786万5,291円
2,977万5,485円
25年間で老後資金2,000万円を新NISAの積立投資だけで用意する場合、毎月5万円程度の金額が想定されます。
50代の場合:15年間で老後資金2,000万円を用意する
【50代の想定プロフィール】
- 既婚、共働き、子ども2人(大学生1人、高校生1人)
- 家と車のローン完済
- 現在の世帯月収は月60万円
50代の場合、子どもの学費、家や車のローンなどのうち、どれかは支払いが終わっている可能性があります。ただし、そうした支払いに専念し、老後資金の準備がおろそかになっている人がいる可能性も否めません。現役のうちに老後資金を用意すると考えると、月々の投資額は多めにするのが安心です。
〈表〉15年間、毎月同額で運用した場合
想定利回り(年率)
毎月5万円
毎月7万円
毎月10万円
3%
1,134万8,634円
1,588万8,088円
2,269万7,269円
5%
1,336万4,447円
1,871万226円
2,672万8,894円
15年間で老後資金2,000万円を新NISAの積立投資だけで用意する場合、少なくとも毎月10万円近くの投資が必要と考えられます。
新NISAに関する「よくある質問」
最後に新NISAについて「よくある質問」に回答します。
Q1.今からはじめるなら、つみたて投資枠と成長投資枠どっちがいい?
投資の知識が少ない場合には、金融庁が認めるつみたて投資枠対象商品を選ぶのがわかりやすくていいでしょう。これらの商品は成長投資枠でも保有・運用することはできます。年間投資額が120万円以下であればつみたて投資枠、120万円以上240万円以下であれば成長投資枠を利用してはいかがでしょう。
Q2.新NISAに毎月いくら積み立てればいいの?
前述のように、新NISAは20年以上の長期間、家計に負担がかからない金額で運用するのがおすすめです。「【年代別シミュレーション】新NISAに毎月いくら積み立てればいいの?」を参考にしてみてください。
Q3.新NISAと個別株の違いは? どっちがいいの?
新NISAで個別銘柄を運用する場合、運用益は非課税になります。ただし、前述のように新NISAでは一定の銘柄は購入することができません。短期間での将来の見通しにかけるような運用を行う場合には、課税口座で購入するほうがいいでしょう。
Q4.新NISAは金融機関を変更できる?
旧NISAの口座を持っている人が新NISA口座を別の金融機関で開くことは可能です。その場合の手続きについては、「旧NISA口座を持っている場合」を参照ください。
Q5.つみたて投資枠と成長投資枠で、別の金融機関を使うことはできる?
つみたて投資枠と成長投資枠で別の金融機関を使うことはでません。NISA口座はすべての金融機関で1人1つが原則です。
Q6.新NISAの非課税保有限度額は買付額ベースで管理される?
非課税保有限度額は、買付残高(簿価残高)で管理されます。NISA口座内で商品を売却した場合には、その簿価分の非課税枠を再利用することができます。
Q7.つみたて投資枠だけで非課税保有限度額を使い切ることはできる?
つみたて投資枠だけで非課税保有限度額(1,800万円)を使い切ることは可能です。
Q8.成長投資枠だけで非課税保有限度額を使い切ることはできる?
成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円です。新NISAの非課税限度保有限度額は1,800万円なので、総額を成長投資枠だけで使い切ることはできません。
Q9.新NISAをはじめたら、旧NISAで保有している商品はどうすればいい?
旧NISA口座で保有する商品は非課税保有期間が終わるまでそのまま保有するか、非課税保有期間が終わる前に売却するか、選択する必要があります。詳しくは「旧NISAから新NISAに移行する際の注意点」をご覧ください。
新NISAをやらないほうがいいのは、「短期間での将来の見通しにかけるような運用を行う人」
これまで説明してきたように、新NISAは長期の積立分算投資に適した制度です。逆にいえば、短期間での将来の見通しにかけるような運用を行うには向いていない制度です。これから新NISAを始める人は20年以上の長期間での資産形成を見据え、家計に負担をかけない金額での運用がおすすめです。
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